毛利悠子
美術展
1895年に始まったヴェネチア・ビエンナーレは、世界で最も長い歴史を有し、今も最大の注目を集める国際美術展の一つです。世界には200を超える国際展があるとされますが、ヴェネチアは会場となる公園内に参加国が恒常的なパヴィリオンを持ち、そこで自らの経費負担により自国作家の作品を展示するという、いわゆる国別参加方式を採るほぼ唯一の国際展です。19世紀的な万国博覧会の手法にも通ずるこの参加方式に加え、賞制度を残すことで、しばしば「美術のオリンピック」とも呼ばれます。一時は有力参加国による威信をかけた賞の争奪戦が加熱化した時期もあり、賞制度は1970年に一旦廃止されましたが、1986年には復活しました。90カ国が参加した2019年の第58回展では、最新のアート動向を実感するため、オープニングだけで24,000名の美術関係者が集い、また会期中593,000人の来場者があったとビエンナーレ財団から発表されています。日本は1952年に初めて公式に参加、1956年には日本館を建設、1976年より国際交流基金が日本側主催者を務め、毎回日本代表作家による展示を日本館において行っています。