この回より、代表(コミッショナー)を先に決定し、その意向に沿って作家を選考する、いわゆるコミッショナー制が導入され、富永惣一コミッショナーは8名の作家を選抜した。在仏の今井俊満、佐藤敬の作品を除く日本からの出品作品は、東京国立近代美術館においても展示された。
「抽象画という普遍的言語を用いつつも、驚くほど日本的な作品を創作」と富永が評価した斎藤義重は7点の絵画を、今井俊満は《東方の光》など4点の大作を出品した。
佐藤敬と山口薫も、それぞれ大型の抽象画を発表。版画家・浜口陽三は、《2つのさくらんぼ》(1957)など銅版画による作品を22点出品した。
豊福知徳は、生涯繰り返しモチーフにした戦争の引揚者を表現したといわれる《漂流1》など木彫作品3点を出品した。絵画や彫刻など既存のジャンルを超えた独創的な表現を追求したことで知られる小野忠弘は、ガラクタや廃品を用いた「ジャンクアート」と呼ばれる立体作品を展示した。また、戦後の具象彫刻を代表する柳原義達はブロンズ像4点を上階の展示室に陳列した。
第30回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
- 総合テーマ
- 総合キュレーター
- Gian Alberto Dell'Acqua
- 会期
- 1960年6月18日~10月16日
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