これまでのビエンナーレでは、日本は中央館の一室を間借りするかたちで展示を行っていたが、この年、建築家・吉阪隆正の設計により、アジア初のパビリオンとなる日本館が建設された。待望久しかった自前のパビリオンがついに実現したことで、ビエンナーレへの参加は軌道に乗っていく。以後、日本館は日本の美術を海外へ向けて発信する拠点となり今日に至っている。
日本館のこけら落としとなった本展には、独自のリアリズム絵画を確立した須田国太郎、身近な自然事象を繊細な感性で描く脇田和、日本の抽象絵画の先駆者である山口長男、抽象彫刻の草分け的存在である植木茂、仏像に用いられる乾漆技法を取り入れた現代彫刻家・山本豊市、そして前年にサンパウロ・ビエンナーレで版画部門最高賞を受賞した版画家・棟方志功の計6名が参加した。棟方を除く5作家は、それぞれヨーロッパで学んだ経験をもつ。
結果として、棟方志功が版画部門でグランプリにあたる「国際大賞」を獲得。この快挙は、日本国内でビエンナーレへの関心が高まる契機となった。
第28回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
- 総合テーマ
- 総合キュレーター
- Rodolfo Pallucchini
- 会期
- 1956年6月19日~10月21日
- すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。