坂本繁二郎と岡本太郎という「大家と前衛」の組み合わせで、両作家10点ずつの作品が出品された。11作家が参加し、「無気力」との批判を受けた前回展の反省を踏まえてか、本展では2名の作家に絞り、ジャンルも油絵に限定して紹介された。
坂本は39歳のときにパリへ渡り3年間の留学を経て、独自の画風を確立した画家である。生涯にわたり、牛や馬、静物、月など、身近な題材を選びながら厳粛で静謐を湛える作品を描き続けた。出品作品には代表作《放牧三馬》(1932)や、葉牡丹をモチーフにした《甘藍》(1941)、阿蘇山を描いた《暁明の根子嶽》(1953)などが含まれた。
岡本は18歳でパリに渡り10年以上をその地で過ごした。「アブストラクシオン・クレアシオン協会」やシュルレアリスムの前衛芸術運動に参加し、帰国後は、相反する要素が同一画面に存在しながらもその反発を芸術へと昇華させる「対極主義」を唱え、皮肉が入り混じる具象表現を模索し続けた。ビエンナーレには《森の掟》(1950)や《遊ぶ子》など、猛烈なエネルギーが渦巻く作品群が出品された。
第27回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
- 総合テーマ
- Surrealism
- 総合キュレーター
- Rodolfo Pallucchini
- 会期
- 1954年6月19日~10月17日
- すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。