塩田千春は、ベルリンを拠点に活動し、大規模なインスタレーションで知られる作家である。本展では、日本館の展示室とピロティの2つの空間を統合するインスタレーション作品《掌の鍵》を展観した。
展示室内には、蜘蛛の糸のように空間を埋め尽くす赤い糸にたくさんの鍵が吊るされ、床にもこぼれ落ちた無数の鍵が置かれた。世界中から収集された18万個もの鍵が使われ、それらを受け止めるかのように設置された2隻の舟は、掌の象徴であるという。
ピロティ部分では、鍵を乗せた子どもの掌の写真や、生まれる前と生まれた直後の記憶について話す子どもを映した映像作品を展示した。
無数の鍵が象徴する人々の積み重なった記憶と、映像が語る子どもの誕生時の記憶という2つの記憶の物語が交差する日本館は、その圧倒的なヴィジュアル・インパクトにより、海外の様々な媒体に紹介された。
日本館 展示概要
第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
- 総合テーマ
- All The World’s Futures
- 総合キュレーター
- Okwui Enwezor
- 会期
- 2015年5月9日~11月22日
- すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。