21世紀最初のヴェネチア・ビエンナーレを迎え、日本館は「ファースト&スロウ」のテーマのもと、異なるメディアによって表現活動を行う中村政人、畠山直哉、藤本由紀夫の3作家による展示を行なった。日本館階下のピロティに仮設ギャラリーを設け、上下2層から成る展示とすることで、多様な要素が複合的に絡み合う現代都市の状況の顕在化が試みられた。
上階のギャラリーでは、3人の作品が干渉し合いながら共存した。畠山は、目まぐるしく変化する都市のダイナミズムを俯瞰する写真として、東京を定点観測した70点に及ぶ組み写真と、大阪球場を写した2点の写真を出品した。
中村は、高さ4.4メートルの巨大な「マクドナルド®︎」のロゴマークを円環状にいくつも並べ、黄色い光に満ちた空間をつくり出した。また藤本は、日本社会にあふれている雑多でありながら、変化に乏しく一様になってしまっている音をキーボードで表した。
階下のギャラリーにおいては、畠山は渋谷の地下5メートルの地下水道を撮影した写真作品を、藤本は、モーターによって回転するガラス瓶の中で、角砂糖が微細な音を立てるサウンドオブジェを展示し、地上の喧騒とは異なる世界を表現した。
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日本館 展示概要
第49回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
- 総合テーマ
- Plateau of Humankind
- 総合キュレーター
- Harald Szeemann
- 会期
- 2001年6月10日~11月4日
- すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。