1966 第33回
ヴェネチア・ビエンナーレ
国際美術展

オノサト・トシノブ、池田満寿夫、篠田守男、靉嘔(あいおう)の4名が出品作家となり、70点を超える作品を披露した。

篠田は、抽象彫刻を通して空間の問題を研究し続ける彫刻家である。鋼鉄線で金属の塊を中空に固定させる「テンションとコンプレッション」シリーズから、3点の大型作品を出品した。1960年代にアメリカで興った前衛芸術運動「フルクサス」のメンバーとして活動した靉嘔は、ニューヨークより《虹の環境設定 No.3》を出品。箱の穴に指を入れると音が鳴ったり、触覚を楽しみながら中身を探る体験型の「フィンガー・ボックス」65個を壁一面に設置するなど、虹色のさまざまな合成物で部屋を構成し、鑑賞者の人気を集めた。

「ビエンナーレ出品作として初めて五感すべてに訴える作品」と批評家のローレンス・アロウェイが『ヴェネチア・ビエンナーレ 1895-1968』(ニューヨーク・グラフィック・ソサイエティ、1968年)の中で評した本作品は、ビエンナーレ全体の中でも最大規模の作品となった。

また、前回美術展に引き続き2度目の出品となったオノサト・トシノブは、鮮やかな色彩の線や円が画面全体を覆う抽象画20点を出品した。

多分野で才能を発揮した池田満寿夫は、《化粧する女》(1964)や《天使の靴》(1963)などのドライポイントによる作品群を発表し、国際大賞(文部大臣賞)を受賞した。

靉嘔《“虹の環境設定”No.3(ベニスの虹と触覚の部屋)》
靉嘔《“虹の環境設定”No.3(ベニスの虹と触覚の部屋)》

第33回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展

総合テーマ
総合キュレーター
Gian Alberto Dell'Acqua
会期
1966年6月18日~10月16日
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