出品作家には荒川修作、関根伸夫の2名が選出され、荒川は日本館内部での展示を行い、関根は日本館付近の屋外にて高さ4.5メートルの巨大な彫刻を展示した。
荒川の連作を展示した日本館展示室は、日本館史上初めて1作家だけの展示となり、絵画やドローイング、テキストなど旧作を交え、作家自身の創作活動を回顧する内容となった。1961年に渡米した荒川は生涯を過ごしたニューヨークから出品し、作家がそれまで取り組んでいた機械的な線や文字、記号などを用いた「図式絵画」による表現をさらに発展させ、新作「意味のメカニズム」シリーズの一部も公開。自身の作品やレオナルド・ダ・ヴィンチをはじめとする西洋美術史上の有名な図像などにテキストを配し、イメージと言葉による表象のメカニズムを探る一連の作品は、のちに同名の著作として出版されている。
関根は「もの派」の嚆矢とされる作品《位相-大地》(1968)など、屋外彫刻で知られる。日本館の展示のため、作家は現地で2ヶ月以上をかけて、鏡面状の高さ4.5メートルの四角柱の上に約15トンの大理石を載せた《空相》を滞在制作した。クレーン車を導入して設置する大掛かりな作業であったが、大型の野外彫刻の出品は日本館の新たな挑戦となった。石の設置作業がオープニングに集ったプレスの前で行われたため、大いに注目を集めたという。
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第35回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
- 総合テーマ
- 総合キュレーター
- Umbro Apollonio
- 会期
- 1970年6月24日~10月25日
- すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。