《リフレクション・モデル(テセウスの船)》 撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY
2017 第57回
ヴェネチア・ビエンナーレ
国際美術展

岩崎貴宏は日本館において、本やタオル、プラスチックゴミなど身の回りにあるものを素材にした立体作品7点によるインスタレーションを行った。タオルの糸を引き出して小さな鉄塔をつくるなど、細かい手仕事の確かさとユーモアのセンスが特徴である。

展示室中央の床に積み上げられたタオルを自然の山の稜線のように見せるという「見立て」の手法が使われ、またピロティから階段を登ってきた観客には異なる風景を見せることにより、一元的なものの見方に揺さぶりをかけた。

作品のモチーフは、海上に浮かぶ厳島神社や瀬戸内海沿いにつくられた化学工場、海上の石油リグなど、新旧含めた日本の海沿いの構造物である。原子力や資源開発などのエネルギー問題、戦後の経済の高度成長を支えながらも公害を引き起こした化学工場など、日本の地域が抱える問題点に目を向ける展示となった。

一風変わった展覧会のタイトルは、ヴェネチアが地中に無数の木杭を打ち込んで建設された街であることに因んでいる。「作品を上からだけでなく下からも見ること、日本を陸からだけでなく海からも見ることの意味を込めた」とキュレーターの鷲田めるろは述べている。

撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY
撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki 写真提供: ANOMALY
《アウト・オブ・ディスオーダー(海洋モデル)》 撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY
《アウト・オブ・ディスオーダー(海洋モデル)》撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki 写真提供:ANOMALY
《テクトニック・モデル(フロー)》 撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY
《テクトニック・モデル(フロー)》撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki 写真提供: ANOMALY
《アウト・オブ・ディスオーダー(逆さにすれば、森)》 撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY
《アウト・オブ・ディスオーダー(逆さにすれば、森)》撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki 写真提供:ANOMALY
《リフレクション・モデル(テセウスの船)》 撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY
《リフレクション・モデル(テセウスの船)》 撮影:木奥惠三 ©Takahiro Iwasaki 写真提供: ANOMALY

日本館 展示概要

タイトル
逆さにすれば、森
出品作家
岩崎 貴宏
キュレーター
鷲田 めるろ
テキスト
主催
国際交流基金
特別助成
公益財団法人 石橋財団
関連リンク

第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展

総合テーマ
VIVA ARTE VIVA
総合キュレーター
Christine Macel
会期
2017年5月13日~11月26日
すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。
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