撮影:港千尋
2007 第52回
ヴェネチア・ビエンナーレ
国際美術展

岡部昌生が1977年よりライフワークとして取り組むフロッタージュ作品を軸に、人間の過去が未来へと受け継がれる可能性と条件について、美術を通して問おうと試みた展覧会である。

かつて軍港があった広島の宇品駅遺構で、作家は9年の歳月をかけてプラットホームの縁石を擦り続けた。それらのフロッタージュのうち1400点が日本館の展示の中心となった。

高さ5メートル、総延長82メートルにもなる展示室の壁面は、フロッタージュ、そのネガフィルムを挟み込んだライトボックス、植物標本などによって埋め尽くされ、会場の中央には、広島の被曝石が空間を分断するかのように直線状に配置された。

また、会期中には複数のワークショップが行われた。フロッタージュという表現を多くの人々と共有することで、不可視の過去や記憶を擦りとり記録する行為が、異なる都市へと拡散されることとなった。

ワークショップの様子 撮影:港千尋
ワークショップの様子 撮影:港千尋
撮影:港千尋
撮影:港千尋

日本館 展示概要

タイトル
私たちの過去に、未来はあるのか
出品作家
岡部 昌生
コミッショナー
港 千尋
テキスト
主催
国際交流基金

第52回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展

総合テーマ
Think with the Senses - Feel with the Mind
総合キュレーター
Robert Storr
会期
2007年6月10日~11月21日
すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。
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