建築史家かつ建築家である藤森照信をコミッショナーに迎え、20世紀のモダニズム建築の枠に収まらないユニークな藤森の建築とともに、1986年に藤森が赤瀬川原平や南伸坊らと結成した「路上観察学会」の活動を紹介する展示が開催された。
展示室の中央には、藤森が中心となり施主らと協働して住居の施行作業を行う「縄文建築団」による、竹と縄でつくったドーム型の空間「ROJOシアター」を設置。ドーム内では路上観察学会のメンバーが路上で発見した一風変わった風景の数々が上映され、途中で途切れた滑り台、日本一薄いビル、ツタで覆い隠された家などが映し出された。都市のなかで無意識に生み出された造形に着目する路上観察学会のユニークな活動がうかがえるものであった。
また、藤森の作品のうち自然素材を使った《神長官守矢資料館》(1991、長野県)や《ラムネ温泉館》(2005、大分県)、植物を取り込んだ《タンポポハウス》(1995、東京都)や《ねむの木美術館》(2007、静岡県)の写真パネルや、木彫のような建築模型が展示された。
第10回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展
- 総合テーマ
- Cities. Architecture and society
- 総合キュレーター
- Richard Burdett
- 会期
- 2006年9月10日~11月19日
- すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。