4年振りの開催となった建築展のコミッショナーは磯崎新が務め、キュレーターの小池一子のもと、建築家の妹島和世+西沢立衛、ファッションデザイナー津村耕佑、オランダの写真家ヘレン・ファン・ミーネ、アーティストのできやよいが参加した。日本館のテーマは、「少女都市」。建築物の内部に住む家族形態の変化や、都市住居で間取りのプロトタイプとなった「LDK」の形骸化、建築物の内部(プライベート)と外部(パブリック)の境界が曖昧になるなどといった現代日本における都市の変容が、インスタレーションとして提示された。
妹島和世+西沢立衛は、未来に向かう少女が立つゼロ地点を表すように、日本館の外構を白一色の空間にまとめあげた。さらに、日本館の周辺に白いパイプ椅子60脚を置き、観客が自由に休憩できるスペースを設け、建物と庭との一体化をはかった。
できやよいは指先につけた絵の具で彩色するフィンガープリントという手法で、画面を埋め尽くす細密画を制作。ヘレン・ファン・ミーネは、日本で撮りおろした少女たちのポートレイトを、屋外に配置したテーブルの上に並べ、自然光のもとで鑑賞する方法で展示した。また、「究極の家は服である」というアイデアをもとに、災害から身を守る服「ファイナル ホーム」を展開する津村耕佑は、母と子どもの生命を守るための服としてデザインした《マザー》を出品した。
白い空間を演出した日本館は、巧みな展示技術に加え、現代の建築や都市問題への批判的な視点を明確に打ち出すことにより、人気のパビリオンとなった。
日本館 展示概要
第7回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展
- 総合テーマ
- Less Aesthetics, More Ethics
- 総合キュレーター
- Massimiliano Fukusas
- 会期
- 2000年6月18日~10月29日
- すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。