宮島達男は1980年代後半から、3つの基本コンセプト―それは永遠に続く、それは変化し続ける、それはあらゆるものと関係を結ぶ―に基づき、LED(発行ダイオード)とIC(集積回路)によるデジタルカウンターを用いた作品の制作を続けている。
1999年の日本館において、宮島はこれまでの最大規模となる2400個のデジタルカウンターを館内の壁に配置したインスタレーション《メガデス》を発表した。静謐な空間の中で、青く発光した数字が異なる速度で9から1までカウントダウンを繰り返す。
あたかも、ひとりひとりの生命のリズムを表現するかのように。しかし、観客がある場所に入ると、突然すべてが消えて暗闇となる。《メガデス(大量死)》という作品名からもうかがわれるように、この作品は大量殺りくが行なわれた20世紀文明の危機を暗示していた。
一方、日本館のピロティは、1995年に宮島が立ち上げた「時の蘇生」柿の木プロジェクト実行委員会による展示空間にあてられた。長崎で被爆した柿の木の二世の苗木を世界各地で育てていく参加型アートである。実際、本展の会場においてもプロジェクト参加への申し込みも多数寄せられたという。《メガデス》とともに、平和へのメッセージが世界へ発信された。
日本館 展示概要
- タイトル
- 芸術の行方
- 出品作家
- 宮島 達男 | 「時の蘇生」柿の木プロジェクト実行委員会
- コミッショナー
- 塩田 純一
- テキスト
- テキスト
- 主催
- 国際交流基金
第48回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
- 総合テーマ
- APERTO over ALL
- 総合キュレーター
- Harald Szeemann
- 会期
- 1999年6月12日~11月7日
- すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。