キュレーターに就任した建築史家の山名善之は、東日本大震災などを経験しパラダイムシフトに直面する日本社会において、「価値観やライフスタイルなどを共有する新たな共同体」が出現しつつあると述べている。そこで本展では「縁」をテーマに掲げ、「人のen」「モノのen」「地域のen」という3つの切り口で、若手建築家12組の作品を紹介。模型、写真、映像で構成した極めて実践的なアプローチによって、特別表彰(special mention)を受賞した。
展示作品の例として、「人のen」では、成瀬・猪熊建築設計事務所がシェアハウス《LT城西》の1/10スケールの模型を、西田司+中川エリカは展示や滞在型制作ができるスペースを擁する4戸の集合住宅《ヨコハマアパートメント》の1/5模型を出展。これら大型の模型の中には、家具や住居者の持ち物なども精細に再現された。
「モノのen」では、能作アーキテクツが既存の2世帯住宅を改修した《高岡のゲストハウス》の模型とともに、改修前に使用されていた瓦などの物品を展示。天井からは、移設した屋根を表した木の骨組みを吊るし、モノ、建築、住人の時間と関係性を表象する内容であった。
また「地域のen」では、ドットアーキテクツが設計し、小豆島の住民との協働によって施工された《馬木キャンプ》の模型を展示。馬木地区の空気感を伝えるため、地元の人々に愛される「美井戸神社」の模型や、農作物や名産品、人々のインタビュー映像なども展示された。
日本館 展示概要
- 日本館テーマ
- en[縁]:アート・オブ・ネクサス
- キュレーター
- 山名 善之
- テキスト
- 出展作家
- 菱川 勢一 | 常山 未央 | 西田 司 | 中川 エリカ | 成瀬・猪熊建築設計事務所(猪熊純、成瀬友梨) | 仲建築設計スタジオ(仲俊治、宇野悠里) | 能作アーキテクツ(能作文徳、能作淳平) | miCo.(今村水紀、篠原勲) | レビ設計室(中川純) | 増田 信吾 | 大坪 克亘 | 青木弘司建築設計事務所(青木弘司) | 403architecture [dajiba](彌田徹、辻琢磨、橋本健史) | BUS(伊藤暁、坂東幸輔、須磨一清) | ドットアーキテクツ(家成俊勝、赤代武志、土井 亘)
- 主催
- 国際交流基金
- 特別助成
- 公益財団法人 石橋財団
- 関連リンク
第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展
- 総合テーマ
- Reporting from the Front
- 総合キュレーター
- Alejandro Aravena
- 会期
- 2016年5月28日~11月27日
- すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。