1991 第5回
ヴェネチア・ビエンナーレ
国際建築展
京都コンサートホール設計競技

1980年からスタートした「ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」に対し、日本はこの第5回目開催から参加を始め(国際交流基金主催)、現在に至っている。初の公式参加となった本展では、平安遷都1200年記念事業の一環として実際に計画が進んでいた京都コンサートホールの設計コンペの概要を紹介するものとなった。コミッショナーは川崎清が務め、コンペに参加した建築家として石井和紘、磯崎新、阪田誠造、高松伸、槇文彦の5名の提案が紹介された。

設計競技にあたっては、2つのテーマが与えられていた。今後の日本文化の発展を象徴するデザインであること、そして伝統と革新が美しく調和した建築物であることだ。

槇は京都を囲む山々に注目し、大ホールと小ホールの間に、雄大な比叡山の景色を望めるホワイエを配した。高松は3層からなる建築を提案。1階部分は外の景色と連続性をもたせるガラス張りに、2階部分は耐熱性に優れたポリカーボネートを使用し採光に優れたデザインに、3階部分は木製のルーバーを取りつけ、周囲の緑と調和を図る設計であった。また、磯崎と石井は、いずれも碁盤の目状に道路が交差する京都の街に着想を得て設計した。すなわち、磯崎は立方体格子が特徴的なホワイエを設け、石井は格子状のガラスで建築全体を覆うデザインを提示。阪田は、華やかさと静謐さをあわせもつ金閣寺をイメージし、金色の直線的な部分と、暗灰色の石のプレートを使用した部分がコントラストとなるよう外観をデザインした。

なお、実際のコンペでは磯崎案が採用され、京都コンサートホールは1995年に竣工している。

日本館 展示概要

日本館テーマ
京都コンサートホール設計競技
コミッショナー
川崎 清
出展作家
石井 和紘 | 磯崎 新 | 阪田 誠造 | 高松 伸 | 槇 文彦
主催
国際交流基金

第5回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展

総合テーマ
Forty Architects for the 90s
総合キュレーター
Francesco Dal Co
会期
1991年9月8日~10月6日
すべてのテキストは当時の情報をもとに構成しています。
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